香港には、グルメ、夜景、レトロな建物など、たくさんの魅力がありますが、街歩きを楽しんでいるとよく目にするのが「涼茶スタンド」。
街の至るところにあって、漢方らしい独特の香りに誘われます。
古くから香港の人々の健康を支えてきた涼茶スタンドは、旅行で訪れた人に伝統体験と癒しを与えてくれる場所でもあります。
今回は涼茶の魅力、歴史とともに、カラダ漢方のスタッフが香港で訪れた涼茶スタンドをご紹介します。

香港旅行は「涼茶」でデトックス&リフレッシュ

旺角の看板

香港と言えば、活気あふれる都市や美食の宝庫として有名ですが、地元の文化や伝統を体験できるのが涼茶(リョウチャ・リャンチャ)。2006年には中国本土の国家無形文化遺産に認定されました。

「涼茶」とは、古くから広東省、香港、マカオなどで飲まれている漢方茶のことで、いわゆる「お茶」とは異なり生薬を使って作られるのが特徴です。

多くの種類があり、それぞれ異なる効果を持つため、体調に合わせて選びます。
代表的なのは、甘四味(ヤーセイメイ)。お店により異なりますが、24種類の生薬が使われており、風邪の引き始め、カラダの熱や湿気をとる、便通促進、胃腸の働きを良くするなどのさまざまな効果があるといわれています。

涼茶スタンドには、老若男女問わず多くの人が訪れており、地元の人の生活の一部になっています。旅行で訪れた際には、ぜひ立ち寄って香港の文化を味わってみましょう。
香港のグルメをたくさん食べた後のデトックスや、旅の疲れからリフレッシュするにはぴったりです。

1700年以上の歴史をもつ涼茶文化が香港に健康と癒しを与える

養和堂(ヤン・ウー・トン/Yeung Woo Tong)店内のメニュー

涼茶は東晋時代(西暦 306 年)、当時流行っていた疫病をなんとかしようと、葛洪(こうこう)*が熱を下げるための漢方薬を研究したのがはじまりといわれています。

そこから広東省地方の地域文化として根付き、香港でも体調不良の際に飲まれる伝統が受け継がれてきました。
香港が数十年間イギリスの統治下にあった時代も、西洋医学に抵抗があった香港人は、病気の予防や治療に涼茶を好んでいました。
古くから涼茶店は健康の源として人々を支える存在ですが、1950年代頃の香港では、日本の喫茶店やカフェに相当するような民衆の憩いの場でもあったそうです。

今日では、昔ながらの涼茶スタンドから、現代的なカフェスタイルで提供する店舗まで、香港の街角の至るところで涼茶文化は息づいています。どのお店でも、伝統的な製法にこだわり、手作りの涼茶を提供し、訪れる人々に健康と歴史の両方を感じさせてくれます。

*葛洪は道教の錬丹術士であり、儒学者、著述家としても知られています。中国の伝統医学や錬金術に関する古典的な文献を多く残し、特に彼の薬草学は、後世の医師たちによって引き継がれ、多くの処方が現代に至るまで用いられています。

カラダ漢方スタッフが訪れた涼茶スタンド2軒

数ある涼茶スタンドから、カラダ漢方スタッフが訪れたのは養和堂と潘芳堂涼茶。
それぞれのお店をご紹介します。

養和堂(ヤン・ウー・トン / Yeung Woo Tong)

養和堂(ヤン・ウー・トン/Yeung Woo Tong)の店先

まず初めに訪れたのは尖沙咀(チムサーチョイ)にある養和堂(ヤン・ウー・トン / Yeung Woo Tong)。
30年以上の歴史をもつ養和堂は、香港内に8店舗を構え、本物の原料と新鮮さにこだわる涼茶店です。
ここでは、24種類の生薬が使われた甘四味(ヤーセイメイ)と、カラダに溜まった熱をデトックスしてくれる夏桑葡清涼茶(シァサンプーチンリャンチャ)、亀ゼリーを頂きました。

甘四味(ヤーセイメイ)は独特の漢方らしい味わいを感じます。とっても苦いと感じるスタッフと、さらっと飲むことができるスタッフに分かれたのが印象的でした。

養和堂(ヤン・ウー・トン/Yeung Woo Tong)の涼茶

亀ゼリーは想像していたよりも1つが大きく、食べきる頃にはお腹いっぱい。
薬草ゼリーのような味わいで甘味はほとんどないため、卓上にあるシロップやゴマミルク(別売り)をかけて食べると、さらに美味しく食べられます。

養和堂(ヤン・ウー・トン/Yeung Woo Tong)の亀ゼリー

養和堂(ヤン・ウー・トン / Yeung Woo Tong)の詳細

住所:尖沙咀科學館道14號新文華中心地下59號舖 / Googleマップで開く
(Shop 59, G/F, New Mandarin Plaza, 14 Science Museum Road, Tsim Sha Tsui)

営業時間:10:30~22:00

潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン / Poon Fong Tong)

潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン/Poon Fong Tong)の看板

次に訪れたのは位元堂・太子 (荔枝角道)店のほど近くにある潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン / Poon Fong Tong)。
小さなペットボトルに入った涼茶は、旅行中にぴったり。
その場で飲み切ることができなくても、持ち帰ってまた飲むことができます。
ラベルに効果などが書いてあるのもうれしいポイントです。

こちらでも甘四味(ヤーセイメイ)を試したスタッフは、養和堂よりも潘芳堂涼茶のほうが数倍苦く感じたようです。
喉の調子が良くなかったスタッフは、羅漢果野葛菜を飲んでみました。
羅漢果独特の甘味があって飲みやすく、喉が潤った感じがしたとのこと。

潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン/Poon Fong Tong)の甘四味(ヤーセイメイ)と羅漢果野葛菜

潘芳堂涼茶では、涼茶と亀ゼリーの他に、涼茶で煮た卵も販売していました。香港人は、スナック感覚や朝ごはんで食べるそうです。

潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン/Poon Fong Tong)の涼茶で煮た卵

潘芳堂涼茶(プー・フォン・トン / Poon Fong Tong)の詳細

住所:太子荔枝角道56號地舖 / Googleマップで開く
(G/F, 56 Lai Chi Kok Road, Prince Edward)

営業時間:11:00~1:30

香港旅行は伝統的な涼茶でひと休み、疲れを癒そう

香港の地下鉄のコンビニに売っているペットボトルの涼茶

今回は香港の涼茶についてご紹介しました。
長い歴史のある涼茶文化は、香港の人々の健康を支えるだけでなく、我々旅行者の旅の疲れを癒し、伝統を感じさせてくれます。
その時の体調に合わせて、自分にぴったりなものを選びましょう。
コンビニや地下鉄の駅でも、たくさんの種類の涼茶がペットボトルや紙パックで販売されているので、より手軽に楽しみたいという方にはおすすめです。
香港旅行の際には、ぜひ涼茶でカラダを整えて、さらに香港の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

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