「漢方は試してみたいけど、副作用が…」という漢方初心者の方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、漢方にも副作用はあります。
長い歴史をもつ漢方ですが、どのようにカラダに作用するのか、実はいまだに明らかになっていない部分が多くあります。そのため、正しく服用しても副作用が生じる可能性があるのです。

今回は、皆さんが気になる「漢方の副作用」について解説。リスクなどをよく知ったうえで、漢方をうまく活用していきましょう。

生薬の働きとその副作用

漢方は全身のバランスを穏やかに整えていくものが多いですが、それでも、高血圧や胃腸不良、かゆみや湿疹といった副作用が起こることがあります。

その原因の1つとして考えられるのが、生薬自体の性質。
中国の薬物書『神農本草経過(しんのうほんぞうきょう』では、漢方に含まれる生薬を上薬・中薬・下薬の3つに分類。副作用はその毒性などによって、上→中→下の順に強くなるとされています。

  • 上薬(じょうやく):長く多く摂っても副作用はほぼなく、全体のバランスを整えて未病をケアするもの。
  • 中薬(ちゅうやく):カラダに不足しているものを補うために、症状や体質に合わせて選ぶべきもの。
  • 下薬(げやく):効き目は強いが「毒とも薬ともなる」とされ、毒性があるもの。

どの生薬にも副作用が起こるリスクはありますが、次の6種は、他と比べて特にその可能性が高いとして知られている生薬です。
漢方やサプリメントを飲む際にチェックしてみてください。

生薬名症状
甘草(カンゾウ)偽アルドステロン症(血圧の上昇、手足のしびれ、むくみ、つっぱり感、筋肉痛、こわばりなど)
麻黄(マオウ)動悸、不眠、頻脈、多汗、血圧上昇、胃もたれ、食欲不振、みぞおちの痛み、下痢、尿の出にくさなど
地黄(ジオウ)胃もたれ、食欲不振、下痢など
附子(ブシ)アコニチン中毒(動悸、口や舌のしびれ、手足の麻痺やしびれ感、のぼせ、吐気、嘔吐、発汗など)
山梔子(サンシシ)腸間膜静脈硬化症(腹痛、下痢、悪心、嘔吐など)
黄芩(オウゴン)間質性肺炎(空咳、呼吸困難など)、肝機能障害(全身のだるさや痒み、黄疸など)

副作用の確率が上がるその他の要因

生薬の働きが起因と思われるもの以外でも、漢方による副作用のリスクが上がる可能性はあります。
では、どういったケースで副作用が生じやすくなるのでしょうか?
考えられる要因を見ていきましょう。

考えられる可能性① 規定を超えた量を飲んだ

複数の漢方を飲んだり、自己判断で多めに飲んでしまうと、成分が重なって規定量を超え、副作用が生じる可能性があります。
サプリメントや一般用医薬品に生薬が配合されていることもあるので、成分は必ずチェックしましょう。
生薬のなかでも、甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)、大黄(ダイオウ)などは、含有する漢方が多く、成分が重なりやすいので要注意です。

考えられる可能性② 体質や症状に合わない漢方を飲んだ

同じ症状でも、カラダが弱っている方と、体力がある方では合う漢方が異なります。もともとの体質によっても、一人としてまったく同じ漢方の働きが得られるとは限りません。
特に、胃腸が弱い方、肝臓や腎臓の機能が低下している方などが、体質や症状に合っていない生薬を使用すると、副作用が生じる可能性があります。

漢方の副作用にはこう対処しよう

位元堂の漢方を手に出しているところ

最後に、漢方による副作用のリスクを下げるためにはどうすべきか、副作用が生じた場合にどう対処すべきかを解説します。

漢方を飲む前にチェックしたいこと

  • 自分の体質や体調に合う漢方を選ぶ
  • 用法用量をしっかりチェック
  • 他のサプリや薬と併用する場合は成分をチェック

カラダ漢方での漢方の探し方
カラダ漢方では、症状やお悩み別カテゴリ、不調を感じる部位、中医学の体質分類などから自分にあった漢方を探せます。
自分のカラダにあった漢方はこちらから見つけられます。

漢方服用中に気を付けたいこと

  • 体調の変化をしっかり観察する
  • 用法に書かれた量や期間を守る
  • 効き目が感じられない場合、体調に何らかの異変を感じた場合は、医師や専門家の指示を仰ぐ

副作用が生じた場合の対処法

副作用と疑われる症状があった場合、自己で判断するのは危険です。
漢方以外にも、例えばダイエットでの食事制限などを中途半端に続けていると、肝障害などの体感できない障害が蓄積されている可能性があるためです。
不調や違和感を感じた時はすぐに使用を中止し、かかりつけのお医者さんや漢方の専門家に相談しましょう。

以上、漢方の副作用について解説しました。

比較的副作用を起こしにくいとされる漢方ですが、その可能性はゼロではありません。
体質に合った漢方を選ぶとともに、飲んだ後の体調の変化、また、定期的な健康診断などで目に見えない変化がないかなど、自分のカラダと向き合い、状態を把握することが大事。
この基本を守れば、副作用のリスクを減らしつつ、漢方を活用できるでしょう。